玉砕!激安輸入車物色隊

ひと味違うBMW,アルピナが欲しいの巻

登場人物紹介 

探偵

年齢不詳。週末の楽しみはコンビニで買うカーセンサーとエロトピアという駄目な人。

助手

年齢不詳。買う金もないのに、中古車屋を徘徊して激安車を物色する駄目な人。


横浜ランドマークタワーを見おろすビルの一角、輸入中古車探偵事務所にて(実は甲州街道沿いのローソン店内)

助手 ♪思い切って泣きたああい、ハアートブレイクホテエエル♪

探偵 うわ、テカテカのリーゼント頭に濃いもみあげ、思い切り胸元の開いたステージ衣装から覗く胸毛がやけにセクシイではないか。さては、いにしえのロカビリー歌手、平尾昌晃の物マネだな。

助手 ♪ラブレター、フロム・カナーダー♪…って違います。エルビス・オン・ステージ!!

探偵 わかった、わかった。プレスリーの物マネだって。そういや、私と5,6歳年が違う親戚のお姉ちゃんがまだ現役だったプレスリーのファンでなあ、随分と世代を感じるエピソードだけど。それはそうと今回見に行くアルピナとプレスリーとどういう関係があるのかね?

助手 (きっぱりと)何も関係ありません!

探偵 ……

助手 では、出発うう!!

探偵 ………

前期型のE30をベースにしたアルピナC1。アルピナの刻印が刻まれた大型スポイラーがただのBMWでない事を主張している。

サイドフェンダーに付くあまり格好の良くない四角いウインカーは本国仕様には付かない。何かの国産車の流用品らしい。

ちなみにノーマルのE30の場合はホイールアーチ後方にウインカーが付く。

環八通りの高級外車デイーラーにて(実は国道沿いの整備工場券中古車屋)

助手 おお、これは綺麗な白いアルピナじゃないですか

探偵 ……

まえ どうも、E30マニュアルの下取りで仕入れました。

探偵 (気を取り直して)…今やこのアルピナも珍しくなりましたね。

助手 先生、見て下さい。新車時には700万円

 こちらは店長さんです。このBMWのセールスポイントをお伺いしたいのですが。

 特にありません。強いてあげればこのブルーメタは結構珍しい色です。

 …この盛り上がりの少なさは、いかにも近所の中古車屋という感じで好感が持てますね。

 このE30はバブル華やかな頃、六本木カローラと言われるくらいに大ヒットして、BMWを一部マニアのクルマからベンツと並ぶ高級外車として日本中に浸透させた名車だな。今見るとスクウエアなボデイスタイルといかにもセダン然と立ち上がったフロントピラーが好ましいではないか。思えばこのクルマが現役だった頃は私もまだ若かったなあ…

 ハカセ、遠くを見つめるような目をしないで下さいよ。このクルマは90年式なので今年で11年落ちなんですが、内外装の色つやは新車並みとは言わないまでもまだまだ充分イケますよ。ただ惜しむらくは直射日光のせいでダッシュボードにヒビわれが起きています。BMWでは比較的珍しい事だそうですが…

 同じ90年式でも某フランス車と比べると実にしっかりしているではないか。これで平均的なコンデイションとはさすがドイツ車だ。どれ、ひとつドアを開け閉めしてみよう。バムッ…うむ、ベンツのW123程ではないが悪くはないな。

 私の友人でドアの開閉音でクルマを選ぶ人がいるくらいですから。

暗い室内の撮影でボケてしまったが、コクピットの全景。アルピナ純正のステアリングは38径と意外に大きいのに驚かされる。

レカロシートも純正で装着されていた。

アルピナの一大特徴、黒いヘッドカバーがのぞくエンジンルーム。ラジエーターは欧州仕様のままらしく、薄く小さい。

エンジンルーム前方には正規輸入車の証であるニコル・オートモビルのプレートが。

白いボデイは極上の状態を保っていた。残念ながらアルピナストライプは付かない。

バンパーやサッシュ等に光り物が多い前期型は、鉄で出来ているという印象が強いせいか、後期型よりがっしりとした印象を受ける。

16インチのホイールは当然ながら、巷によくあるアルピナもどきではなく、本物である。

 よろしかったらエンジンをかけてみて下さい。

 それではお言葉に甘えて…ブロロロ…一発でかかりました。野太い、いかにもBMWらしい音ですね。アクセルの踏みごたえが渋いなあ。当時、乗った新車もこんな感じでした。
次はエンジンルームを見てみましょう。おおっ!これは綺麗だ!手を入れてなくてこの状態とは、もしかしてこの個体は希にみる掘り出し物かも…

 仕入れてからウチの方で掃除しました。

 …この盛り上がりの少なさは、いかにも近所の中古車屋という感じで好感が持てますね。
それにしても、新車の頃はハイソなヤンエグしか買えなかったベンベが、こんなリーズナブルな値段で買えるなんて、我々庶民にはなんとも嬉しい時代になってきましたね。

 恥ずかしい死語をあまり連発しないでくれたまえ。しかしBMWもご多分に漏れず、モデルチェンジのたびにボデイサイズを拡大しているし、今やこのサイズのFRモデルは貴重だな。

これがアルピナ純正のシフトノブ。

コンソール上にウッドパネルが見えるがこれも純正らしい。

 広告に載せたら結構問い合わせ多いんですよ、E30。

 うむ。激安の割にはそんなにビンボ臭く見えないし、ちょっクルマ好きに訴えかけるものがあるな。まあタイミングベルトやらオートマやらエアコンやらマウントやら電装品とかに気を配る必要はあるだろうが。
よし、ひとつわたしも E30を入手して、ヤンエグを気取って女子大生をハントするかな。

 ハカセの言い回しもなかなか恥ずかしいものがありますね。ではネタも尽きたようなのでまた来月。

テールには小さいスポイラーとアルピナC1のエンブレムが付く。エンブレムは年式に似合わず綺麗なので、前オーナーは新品を奢ったのだろう。

この角度からのリアホイールの張り出しはまことに絶品で、FRはセダンかくあるべしといった趣きである。僕のE30もこうしたいなあ。

初期型のテールランプはやや小振り。カローラ70セダンに酷似してはいるが、シンプルで好ましい。