1990 BMW320IA

インプレッサの車検が切れて信頼できる安価なアシを探していた私の前に格好の物件が現れた。

2世代前のBMW3シリーズ、いわゆるE30である。普段は得体の知れない魑魅魍魎のような古いイタフラ車に囲まれている私にその実直さはとても新鮮に映った。例えて言うなら、テレビのデイレクターとかエデイターのような訳の分からない合コンのメンツに、一人だけコツコツと財形貯蓄をしている真面目な公務員が混じっているようなものである。

さて、そのBMWだが走りっぷりは堅固ではあり、極めて安定したものだ。BMWのハンドルを握る者は誰でも、良質な道具を使い込んだ時のようなある種の充足感にひたる事ができる。私も40を目前にしてやっと地に足がついた堅実な道を歩もうとしているのか。ちなみにまだクルマの代金は払っていない。

インテリアは当時のBMWの文法に乗っ取った、ドライバーを囲むようオフセットされたスポーテイなデザイン。同時期の5シリーズなども驚く程似たデザインをしている。

ステアリングは純正のスポーツタイプのものに交換してあった。インテリアの質感はラテン車に比べればかなり高い方で、ウインカーレバーの操作感ひとつ取っても、イタフラ車を確実に凌ぐ。まあ、ベンツほどではないのが悔しいが。言ってみれば、ドイツ人が作ったラテン車という形容が近いのではなかろうか。エアコンの利きもまあまあで、充分都内を移動するアシになります。

エアコンの利き度数
※※※(もう少しがんばりましょう)          ※5つで満点

フロントウインドウが切り立ったデザインのおかげで運転席に圧迫感はなく好ましいポジションが取れる。空力優先の現代では、これ程ピラーの立ったセダンは二度と生まれないだろう。

後席の狭さは今や伝説的で、一部好事家の間では、クルマの居住性を形容する言葉として「まるでE30のように狭い…」が今や日常語として使われている。(うそ)。

すんげースクウエアなリアスタイル。トランクの開口部がやたら高いのが、設計時の古さを物語る。燃費はあまり誉められたものではない。なにしろ凄く抵抗のありそうな加速をするしなあ。今まで乗った事のあるE30 はことごとく320だったんだけど、4気筒の318や325の燃費は果たしてどうなんだろう?