ぴえーるのつぶやき

日々苦悶する文学青年ぴえーるが現代日本を憂います。


キーワードはお爺さんのワンオーナー

また新しいクルマが欲しくなってきました。とても買える状況ではないんですが、想像するだけならタダですから。

今欲しいのは一昔前のベーシックな実用車ですね。あー。こんなのあったなあ、懐かしいなあと思えて、しかも程良く原形を保っているやつ。

狙い目はお爺さんが若い頃から乗っていたワンオーナーカーです。

何も手を加える事なく、週末だけちょこっと近所を一回りして、あとはガレージに大事にしまい込む。

30年間、そんな扱いを受けてきたクルマ。

クルマも道具ですから、旧くなったら忘れ去られて捨てられる。普通だったら、そんな扱いを受ける事でしょう。

街の解体屋へ行けば、まだまだ我々の感覚からすれば、新しいと思われるクルマが無造作に投げ捨てられています。

そんな状況だからこそ、30年間愛されてきたクルマを見るに付け、おまえはなんて幸せ者なんだろうと思え、また愛しくも感じるのです。

そういったクルマに乗っている方は、大切にして、是非後世に引き継いで欲しいものです。ま、それがプレッシャーになったりもしますが。

逆に、旧くてもフルレストアなど手を入れてあったり、何代もオーナーが代わったりしているクルマは、過去からのしがらみが無い分だけ、自分なりのオリジナルの愉しさを味わえるという気楽さがあります。

几帳面ではない自分など、そういうクルマの方が気楽につきあえるからいいかな?とも思ったりします。

 完                 平成16年5月15日 脱稿


カーショップでお買い物

カーショップに行きました。季節柄でしょうか、給与所得者をターゲットにしたボーナス安売りセールが頻繁に行われておりました。

売っているのはカーナビや、オーディオとか、まあ、どちらかと言えば、あっても無くても良いものばかりなんですけどね。

でも、ポケットに小金があったりすると、ついフラフラと、カーナビのある現代風な生活に憧れて、ローンの契約書にサインなどしてしまいそうです。

しかし、そこは分別のある大人の私です。洗車用の使い捨てタオルなどを買ってお茶を濁しました。

いや、どうせ買うならば、ウオーターポンプとか、エンジンマウントとか、無いと絶対困るものを買っておくべきですよね。

え?今の日本車はそんなもの、絶対壊れないから必要ないって?大体カーショップにはそんなもの売ってないよね。

 完                 平成15年8月3日脱臭剤


梅雨だなあ

梅雨ですねえ。雨が多いですねえ。雨が多いと旧いイタ車が錆びて困りますねえ。旧いフランス車も錆びますねえ、旧い日本車も。

昔、2台の旧いイタ車に乗っていたんですが、こいつが後ろのドアから雨漏りがして困ったものでした。

錆を心配するあまり、豪雨の中にもかかわらず、ドアから入った雨水を一生懸命かき出したのを思い出しました。もう10年は昔の話です。

 完                 平成15年6月28日脱稿


ジャッカルの日

という映画をテレビで見ました。大好きなんで何回も見てるんですよね、この映画。

というのも、設定が1960年代のヨーロッパ(イギリス、イタリア、フランス)なので、良いクルマがバンバン出まくるからなんです。

まず、冒頭はフランスのパリ、シャイヨー宮で閣議が終った場面です。宮殿の中庭から黒塗りのシトロエンDSが続々と出ていくシーンからしてたまりません。撮影年次は1973年頃ですが、一応ドラマ上の時代設定(1962年頃?)に合わせて、DSは全て2灯の前期タイプで揃えています。1962年デビューのバンパーのゴムがとんがった中期型が結構混じっているけど、時代考証的にはギリギリの所ですね。

そして、ド・ゴール大統領が乗る黒塗りのDSを狙うテロリストたち。こいつらが乗るのも、これまたライトブルーのDS(いや、質素そうに見えたからIDかな)です。

いや、なんとまあ素晴らしいシチェーションなんでしょう。

他にも、主人公のジャッカルが乗るのが永年の私の憧れのアイボリーのジュリエッタスパイダーだったり、そのスパイダーの乾いたクールなエンジン音が、私が以前乗っていたジュリア1300TIを思い出させたりくれたり、60年代のパリなのに一瞬シトロエンGSが通り抜けたりと、見せ所満載で何度見ても飽きません。

しかし、今回の一番の発見は、物語後半でベルギー人に化けたジャッカルがパリ駅でタクシーを拾う場面なんです。

このタクシーがまた例によってDSなんですが、運転手のおっちゃんがジャッカルを乗せ、おもむろにハンドル上に生えたレバーを右に倒してて発進します。

そのシフトチェンジの音が「コツン」というんですよねえ。「コツン」と。

いやあ、これぞまさしく吹き替えなしの、本物のハイドロシフトのギアが入った音だなあと感激した訳です。

                                 完                 平成15年6月17日脱皮

特に題名はない その1

やあ、またもやご無沙汰してしまいました。ホントはのんびりとHPの作成を愉しみたいんですけどね、なかなか暇が取れないんです。
でも、一番の理由は夜になるとやたら眠くなってしまうせいかもしれません。じじいになったなあ、俺も。

いや、正直な話、30過ぎくらいまでは友人と、お互いにおやじになったなあと、よく笑いの種にしてたんですよ。おやじ化を愉しむというか、やっと大人になれた自分を慈しむというか(苦笑)
しかし、申し開きの立たない真のオヤジになってしまった今、そんな余裕など全くありません。

子供の頃、21世紀は遙か遠くに感じたものです。しかし私達はいつのまにか、その21世紀を当たり前のように生きているのです。それと同じように、私達にとって50代の壮年時代もそう遠くはないという事実に気付いてしまったのです。その時になっても、相変わらず私はカーセンサーを紐解いて激安車を物色しているのかもしれませんね。

とほほ

                                 完                 平成14年10月2日脱脂綿

格好良いクルマの乗り方とは。

例えば、スナップ写真などで見る、ヨーロッパの街角でに何気なく停まっている、カサカサに乾いた旧いプジョーのベルリーヌ。こういう風景が、無性に格好良く見えたりします。

なぜ格好良く見えるのかなあと、つらつら考えてみます。すると、クルマが道具として当たり前に使われていており、背景にうまく溶け込んで、それが自然なたたずまいを醸し出しているからではないかな?と思い当たります。

その証拠に、そういうクルマを輸入して、綺麗にレストアを施して日本の街並みに置いて見たと想像して下さい。何かが違う。あの枯れた、なんともいえぬ風情が霧散して、妙な不自然さばかりが感じられるんです。

あの風情は絶妙なバランスの元に成り立っているんではないでしょうか。

例えば、60年代のレースシーンで活躍したコンペティションカーを旧い自動車雑誌で見つけたとします。不鮮明なカラー頁に印刷されたそれは、信じられない程流麗で、なおかつレースカーならではの凄みに溢れています。そんな憧れだった、あのクルマに国内のとあるイベントで再会する事ができました。

だけどそこには、あの押し殺したような凄みは感じられません。確かにぴかぴかなんだけど、虚飾を廃した、プロフェッショナルが乗るマシーンではなくなっている。

と、ここまで書いた所で、とてつもなく眠くなってきた。もーどーでもいいやー。おやすみなさーい。完

                                                              平成14年9月30日脱糞


  
                                

趣味のことなど

まあ、このページを御覧の方ならお分かりだと思うんですが私の趣味はクルマなんです。で、私、実は結構のめり込むタチなんです。

そのクルマが欲しいとなったら四六時中そいつの事を考えている。シトロエンを買いたいとなったら、寝ても覚めてもシトロエンの事を考えている。でもその一方で、アルファロメオの魅力もまた抗し難い。で、気が付いてみたら、いつのまにやら複数の趣味のクルマを持つに至ってしまった訳です。

ただね、ふと我に還ると、愉しい筈の趣味に振り回されている滑稽な自分がそこにいるんです。

ああ、あのクルマはもう3週間も乗っていない。動かさなければクラッチが張り付く!と、家の廻りを小1時間ほどブー。ああ、そういえばあのクルマはもう車検切れだあ、と金策に走り回る。ああ、今日は雨で湿気が高いから満タンにしなかったあのクルマのガソリンタンクに結露が溜まるのでは?それよりも屋根から出ているノーズ部分の錆による腐食が心配で夜も眠れない。猫のおしっこもすごく心配だ、そういえば明日はナニのイベントだあ、遅刻をしたらまずいぞお早く寝ないと、どうにも気の休まる暇がない。

趣味っていうのはあくまでも心を充足させる、リラクゼーション的なものが目的であって、それ自体で疲れてしまっては本末転倒ではないかなと反省している訳です。

私ももう不惑を迎えましたんで、肩に力の入っていない、いわゆる趣味の達人を目指したいなあと切に思います。思えば、私のクルマ趣味の理想というのは、十代の頃、何かの雑誌で見たであろうこんなシーンでした。いつか実現できるかなあ?

そこは時間がゆるやかに流れています。瀟洒なガレージで休息している数台のヒストリックカー。決して高価でも歴史的価値がある訳でもない欧州製の大衆車や小型スポーツカーたち。しかし彼らが惜しみない愛情を注がれているであろう事はそのスッキリとしたたたずまいから充分に伺えます。その傍らでは分別のありそうな上品なオーナーが気のおけない友人とエスプレッソを飲みながら談笑しています。BGMにバーデン・パウエルが静かに流れている休日の昼下がり…


でも、考えてみると、現実にそういうシチュエーションになってもクラッチの張り付きや燃料タンクの結露の心配からは逃れられないですよね。

完  
  
                                     平成14年3月27日脱恍

仕事のことなど

このHPを読んだ方から、ぴえーるさんはどんな職業の方なんですかと聞かれる事があります。
あまり自分のプライベートな事(いや、HPの方がプライベートですよね)を語るのはやぶさかではないのですが、実は少しばかり吟遊詩人などをやっております。


吟遊詩人の朝は早いです。雀のさえずりを聞く頃、いそいそと薄絹をまとい、ハープ片手に愛の詩などつまびきながら、主に山梨方面の山中を駆けめぐります。
かつてはもっと遅い時間でも良かったのですが、世の中が不況でリストラが多いせいでしょうか、最近はやたらと中高年の吟遊詩人が増えました。
詩もせちがらい内容のものが多いですね。時代でしょうか。私はもっぱら空腹であるとか、眠いなあとか、人間のナチュラルな要求を唄った内容のものが得意なんです。

山中を駆けながら私はハープをかなでます。そして、いよいよ感極まると自慢の詩を朗々と歌い上げます。

後は、私の詩に感動した地方の豪族が現れて、私を100万ルピナスで召し抱えてくれるのを待つだけです。う〜ん?来ないなあ?

完  これは多分続かないでしょう。
  
                                     平成14年3月13日脱稿

ビーエムの思い出 その1

いやあ忙しいですね、忙しい。仕事に余裕がないと、気持ちも余裕がない。おかげでホームページの更新もとんと御無沙汰しております。
ホントはいろいろ書きたいこともあるし、既存のページもリニューアルしたい所だらけなんですけど。もう少しお待ち下さい。

さて、先日(と言っても随分と経ってしまいましたが)の事です。昨年春から私の忠実なアシとして活躍していたBMW E30なんですが、思う所あって、惜譲いたしました。
思う所も何も、実は存外に良い値段で引き取っていただける話がまいこんで、お金に目がくらんだだけなんですが。

手許にE30がなくなった今現在、あのクルマに対する総合評価を下すにはちょうど良い時期であると思いますので以下に述べさせていただきます。

BMW E30はバブル華やかし頃、外車の花形ともいえる存在でした。
当時の事です。私は仕事の関係で、富士スピードウェイに耐久レースの取材に行く事になりました。そこで、取引先である準大手広告代理店に勤務するN氏のクルマに同乗して富士へ向かったのです。
そのN氏の愛車こそ、ドルフィンメタリックの新型BMW3シリーズ、 E30でした。
時期的に考えれば、あれは市価300万超400万弱もしたまっさらの新車だったに違い有りません。
しかもオーナーのN氏は、鈴木亜久里似のイイ男系、しかも準大手の広告代理店勤務の若手営業マン!
当時、48万円で買った、AMラジオしか付かないコンパーノ・ベルリーナをアシにしていた私にとって、まるで別世界のように思えました。
エアコン、カーコンポを巧みに操り、高級感溢れるシボが押された樹脂製のハンドルを握るN氏は正に時代の寵児。ヤング・エグゼクテイヴそのものでした。それは私には手の届く事のない、遠い遠い憧れのようなものでした。

あれから十数年。紆余曲折あって、遂に私も、憧れのE30オーナーになる時がやってきました。
新車価格の10分の1以下で購入した12年落ちのクルマだからと気に病む事はありません。少しくらいダッシュボードにひび割れがあるからと言って、それが何だと言うのでしょう?エアコンからカビ臭い匂いが漏れたからと言って私の高揚感には何ら変わりはありません。

さあ!今こそ私もヤング・エグゼクテイヴを名乗る時が来たのです。…しかし気が付いてみると、いつしか私も、ヤングと言うには無理のある年齢になっていましたとさ。とほほ。

完  じゃなくて続く。多分。
  
                                     平成14年3月12日脱稿




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